最近、ライドシェアを日本の都市部も含めて全面解禁するという話が急にでてきた。時間帯によっては銀座線の乗客半分が外国人となっている今、インバウンド需要の高まりでタクシーが足りないのだと思う。私は地下鉄を中心に移動しているのでタクシーに乗ることは地方都市にいった時以外は必要としていないが、ライドシェアは日本で必要なように思う。ここで米国での事情についてブログに書いてみたいと思う。
東南アジアではタクシーは怖くて乗れないが、ライドシェアは最高
私は東南アジアやアメリカでタクシーやライドシェアを利用することが多くある。東南アジアでは、特定のタクシー企業の車両でなければ、危険で乗ることができない有様で、それでもボッタクリや迂回走行はざらにある。そんなものだと諦めている。観光地では警察とグルになって乗客にワイロを要求することもあるそうだが、私は乗車するタクシーを選別しているためか、まだそのようなシーンに遭遇したことはない。いずれにしても東南アジアではタクシーには乗りたくない。Grabが登場してからは、そうした危険な目に遭うことがなく、むしろ積極的にフレンドリーに話しかけてくれる現地の人で、ドライバーの人格も明らかにタクシーと大きく異なり、優しいドライバーが多い。ベトナムではGrabを頻繁に利用して移動しまくる。タクシーと異なり乱暴なドライバーに出会ったことは一度もない。ドライバーは、乗車後に評価される仕組みだからかもしれない。ミネラルウォーターを無料でくれる車両も多い。
車両の質も、タクシーはボロボロの車だがライドシェアでは、そこそこ良い車両が多く乗り心地が大きくことなる。
アメリカでもタクシーは怖い。現金で多額のチップを要求される。ギャングかよ!
これはアメリカでも同じだ。タクシーは、ほとんど移民のドライバーで、まず英語がカタコトしか通じない。移民したばかりなのかわからないが、運転も危なっかしく、しょっちゅう「簡便してくれ」という目に合う。迂回運転もたまにある。迂回運転されたので、チップを少なくしようとするとタクシーの運転手に激おこされたことも少ない経験数ではない。しかも現金でチップをよこせというドライバーが結構いる。カード社会のアメリカなのに。こんな思いをアメリカでしたひとは少なくないはずだ。
そんなタクシードライバーを通報する仕組みもレーティングして他の顧客に知らせる仕組みもないから、被害者?が減らない。
アメリカの地方空港ではタクシーはもう待っていない
そんなアメリカの事情なので、いまは空港に着いたら移動手段としてはUBERやLyftしか利用する顧客がおらず、大都市以外ではタクシー乗り場には空車のタクシーがいない。一方、「Car Share Pickup」には大勢の人だかり。先月、ジョージア州のサバンナ空港に夜9時に到着した際は、タクシーは一台もおらずカーシェアに人だかりで、UBERで呼び出しを行っても「ただいま、大変混雑しています。2ドル高い優先搭乗を選択するとつかまりやすいかもしれません」というメッセージが表示され、通常は60ドルのところが夜間料金ということもあり、120ドルもホテルまで要した。需要と供給によりダイナミックに運賃がかわるのがライドシェアの特長とも言えるかもしれない。ライドシェアが安いということも需要と供給によっても変わるということを覚えておく必要がある。
アメリカでは、きれいなタクシー車両を捕まえるのは至難の業だが、ライドシェアの車両は街中で走っているトヨタ TANDRAであったり、キャデラックであったりする。ポンコツな車両に出会ったことは一切ない。乗り心地も劇的に良い。
降車後は、ドライバーの態度や自動車のクリーンさなどを星で評価を付ける必要がある。配車された際、他の顧客がつけた評価をもって、そのドライバーでよいか、キャンセルするかを選ぶことができる。
当てにならないライドシェアの配車予約
しかし、ライドシェアには大きな欠点があることを今回ヒルトンヘッドアイランドに宿泊し、ホテルから空港まで60分前に到着するようにUBERで予約配車をした際に思い知ることになった。3日前にホテルから出発する時刻を設定すると、10分後には「予約配車が確定しました。金額は60ドルです」というメールが届き、私はすっかり安心していた。しかし当日の10分前にアプリを開いてみると「ドライバーを探しています」と表示されていた。出発時刻までそのままであった。アプリには「予約をキャンセルし、オンデマンド配車を利用するとドライバーが見つかるかもしれません」というメッセージが表示されたのでキャンセルし、オンデマンド配車という通常の配車を行うと65ドルですぐにドライバーが確定したが、「ピックアップまで22分かかります」との表示が。それでは飛行機を乗り逃がしてしまう。ちょうどチェックアウトした会社の同僚に頼み込んで空港まで送ってもらって事なきを得た。
タクシーであれば、何月何日の何時にどこそこホテルに配車を予約しておけば必ず来てくれる。ライドシェアのような「誰かくるさー」という欧米的な発想の仕組みでは飛行機を逃してしまうことになる。
タクシーとライドシェアは共存する
牛肉オレンジの貿易問題の際に大きく騒がれたことを思い出す。どのようなシーンでどのような商品やサービスを選択するのか。顧客は賢く選択するが、その選択肢が増えるだけで限られたパイは奪われないのではないだろうか。牛肉オレンジの際は、結局は多くの利用者が和牛の質向上の恩恵を受け、また安い牛肉で食卓を賑わせることができた。みかんも同様だ。
乱暴なタクシードライバーが、残念ながらいまだに日本にもたくさんいる。都内で乗車すると乱暴な運転で気分が悪くなり、その後の会議ができなくなった経験が何度もあるので、私は移動を地下鉄でしかしない。しかし、競争によりタクシーも高品質なドライバーと車両だけになれば、乗る機会も増えると思う。もちろん、タクシーもライドシェアも安全管理は必要不可欠だ。日本でのライドシェア解禁を楽しみにしている。それは日本のタクシーの品質向上にもつながるからだ。