修繕費削減のため施工者へ直接発注へ

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20年前に竣工したマンションの理事長をして数年。長期修繕計画に計上されていない修繕が必要なケースが増えてきた。このため可能な限り出費を抑制する必要がでてきた。その奮闘記をシリーズでお伝えする。

私の居住している85世帯が入居するマンションは、分譲時に分譲主が指定していた管理会社の委託費が高いのではないかと理事会設立1年目に議論され、第一回定時総会にて管理会社を変更した。これにより管理委託費は半減することとなった。管理委託の内容は、平日7時半から午後4時と土曜日7時半から正午までの管理人1名、清掃員1名。複数物件を担当する管理会社の担当者による定期的な検査の立ち合い・理事会招集と議事録作成、管理会社の専門員による定期的な清掃状況および修繕必要箇所の指摘報告などが含まれる。管理委託費が半減したことにより、毎年1000万円前後を管理費余剰金として長期修繕積立金に振り替えを毎年の定時総会で決議している。経営者が多く居住する特殊なマンション。50万円以上の出費はかならず見積もり合わせを行い、コスト削減や同一金額であっても実施内容拡充に努めている。エレベータ管理会社はすでに2回変わっており、そのたびに委託価格の低下およびサービス品質は向上している。

このため、長期修繕積立金は分譲時の長期修繕計画よりもキャッシュリッチになってきている特殊なマンションとなった。総会では「管理費を下げた方がよいのではないか」という声はでるものの、不動産会社を経営している住人や経営者が多い物件であるため、多数決により管理費はそのまま据え置かれた。住みだして20年。その間に消費税があがるなどの要素あったものの、管理費および長期修繕積立金の値上げは1度もなくマンションもちょっとした大理石割れやエントランス柱の傷に関しても修繕対応をしてきた。このマンションは20年の古さをあまり感じさせず、まだ威厳は保っているように思う。

しかし、20年も経過するとエントランス部のタイルに浮きがでていることが打鍵検査によって判明し、大きく割れることも予想されている。そしてこのエントランス部の下には、給水本管が埋設されている。マンションは地下にある受水槽方式で各解へは3機の加圧給水ポンプで給水している。受水槽の交換時期が25年目に計画されていることと、エントランス部のタイルが破損しだしていることへの修繕とあわせて、受水槽方式をやめて直接給水管から加圧給水される直管方式へ変更することを理事会として決めた。

これにより、「受水槽の廃止と直管方式による加圧給水方式への変更工事」「エントランス部にある給水管まわりを修繕」を行うこととした。

以前15年目に大規模修繕工事を行い、外壁タイルの張替など1億円強をかけて分譲時の姿に戻すのと若干の改善工事を行った。この際は、業界新聞に入札情報として掲載して募集をかけ、ゼネコンの子会社が最終的に決まった。管理会社の設計部門に工事費の数%を支払い、監理業務を行ってもらった。

ゼネコンの子会社であったし、私たち理事会の発注の仕方が悪かったのもあるが、マンション分譲当時の意匠と大規模修繕の際の増設家具の意匠に差ができ、少しちぐはぐな感じに仕上がってしまった。

今回、20年目に入り、不確定な修繕が増加してきたため、さらにコスト圧縮ができないかと地元の不動産屋さんに職人を抱えているタイル施工会社を紹介してもらい、エントランス部のタイル張替の見積もりを長期修繕の際に委託した会社と見積もり合わせを行った。その結果、驚愕なことに同一内容の提案で価格が150万円と350万円と大きな開きがあった。差は30%程度と予想していたため、さすがにこの金額は大きいと理事会で話題になった。しかし、職人を抱えている施工会社は、「どのタイルを何枚必要か?」と私たちに問いてくるため、設計士が別に必要で設計と監理業務を任せる必要があるのではないかという方向になった。

一級建築士に意匠も含めて長期的に設計および監理業務を年間顧問契約のような形でお支払いし、施工会社に直接発注したほうがコストも大幅に抑制でき、全体的な意匠も統一されるのではないかという仮説にいま立っている。しかし、私のいる情報業界でも知り合いの施工会社に設計士がキックバックをもらうスキームを作る人もいる。私はこうしたことにとても嫌悪感があるが今後設計士がそのようなことをしないとも限らない。このため、施工会社からの見積額に対して、マンション管理委託会社の設計部門に同一条件にて概算を出してもらうことで、見積もり合わせのようなことをしようと考えている。

 

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